機械分野の規格化には、CEN とCENELEC の約50の技術団体が関与しています。これらの団体は、農業、工業製造、鉱業、建設、消費者向けなど、さまざまな種類の機械を扱っています。さらに、実験室、光学機器、精密機器を扱う11の技術委員会や、溶接に関する規格を策定する2つの技術委員会、さらにタンクと圧力機器の規格化を扱う12の技術委員会も含まれています。これらの技術委員会は、産業界の代表者や安全衛生機関、市場監視機関の代表者で構成されています。
CENとは
欧州標準化委員会は、欧州連合（EU）および欧州自由貿易連合（EFTA）により、欧州レベルでの任意規格の開発・定義に責任を持つ機関として公式に認められた3つの欧州規格化機関（CENELEC、ETSIとともに）のひとつ
CENELECとは
欧州電気標準化委員会（European Electrotechnical Committee for Standardization）は、欧州連合（EU）および欧州自由貿易連合（European Free Trade Association：EFTA）により、欧州レベルでの任意規格の策定・定義を行う機関として公式に認められた3つの欧州規格化機関（CEN、ETSIとともに）のひとつ
この分野で作成される成果物のかなりの割合は、機械（2006/42/EC）、機械規則（EU）2023/1230、リフト（2014/33/EU）、圧力装置（2014/68/EU）、簡易圧力容器（2014/29/EU）、計測器（2014/32/EU）に関するEU 指令への適合をユーザーに推定させる整合規格です。
CEN とCENELEC の規格は、機械、圧力機器、計測機器に関して、国際規格と同等の水準を保っています。これにより、これらの製品は世界市場で適用可能であり、グローバル化の傾向に対応しています。このような規格の統一は、欧州の規格と国際的なアプローチを結びつけ、機械・装置部門における優れた事例となっています。
規格は、様々な専門家が参加し技術開発の進行をサポートします。欧州のスマートマニュファクチャリングに関連する活動において、CEN-CENELEC-ETSI 調整グループ（SMa-CG）は、関係者グループと協力して規格化活動に助言し、産業データに関するタスクグループを通じて共通の要素を同期化します。また、CEN とCENELEC 機械セクターフォーラムは、利害関係者間の情報交換と調整を促進し、機械指令と機械規則に基づく整合規格のニーズを特定しています。
EN ISO 12100 （機械類の安全性 – 設計の一般原則 -リスクアセスメントとリスク低減）（ISO 12100:2010）の改訂
CEN/TC114（機械類の安全性）は機械の安全に関する規格を作成しています。ほとんどの規格はISO/TC199 （機械類の安全性）と共同開発され、機械指令をサポートしています。
2024年、EN ISO 12100（機械類の安全性 – 設計の一般原則 -リスクアセスメントとリスク低減（ISO 12100:2010）の改訂が開始されます。
この規格は機械安全の基本文書であり、製造業者にハザードベースのアプローチを提供します。改訂の目的は、定義の見直しや規則への適合を含みます。
「産業機械」サブセクターは、約40のCENとCENELECの技術機関から構成され、産業界（製紙、繊維、食品、石油・ガス、アミューズメントなどで使用される幅広い機械を扱っており、これらの文書の多くは、機械指令（2006/42/EC）を支援するための整合規格となっています。
リフト、エスカレーター、ムービングウォークの安全性
CEN/TC10（リフトとサービスリフト、エスカレーターと乗客コンベアの建設と設置に関する安全規則の制定）はISO/TC178 ウィーン協定とCEN 主導の下、ISO 8100-1 とISO 8100-2 を改訂する重要な共同プロジェクトを継続します。このプロジェクトにより、リフトの安全性に関する新しい世界規格が誕生し、リフト指令（2014/33/EU）との整合が期待されます。
EN ISO 8100-1「人と荷物の輸送用リフト – 第1部：旅客と荷物の旅客リフトの建設と設置に関する安全規則」
EN ISO 8100-2「人と荷物の輸送用リフト – 第2部：リフト構成部品の設計規則、計算、検査、試験」
CEN/TC10 は、また、以下の新規格の開発に取り組みます。
EN 81-42「リフトの構造および設置に関する安全規則 – 人および物品の輸送用特殊リフト – 第42部：障害者を含む人による使用を意図した密閉キャリア付き垂直リフト装置」
EN 81-44「リフトの構造と設置に関する安全規則 -人と物品の輸送用特殊リフト – 第44部：風力タービンにおけるリフト装置」
EN 81-76「リフトの建設と設置に関する安全規則-旅客及び物品用旅客リフトの特別な用途 – 第76部：リフトを使用した障害者の避難」
EN 81-44 は風力タービンへのリフト装置の安全な設置と、風力タービンへの安全なアクセス作業場を可能にすることを目的とし、EN 81-76 は、新しい旅客リフトと荷物用旅客リフトの要件を規定します。
木工機械の安全性
CEN/TC142「木工機械 – 安全性」は、ISOと共に機械規則（EU）2023/1230 をサポートするため、EN ISO 19085 シリーズの3つの新しいパートの開発を開始します。
EN ISO 19085-20「木工機械 – 安全性 – 第20部：1つの鋸ユニットを持つ水平切断クロスカット鋸盤（ラジアルアームソー）」
EN ISO 19085-21「木工機械 – 安全性 – 第21部：一体型送り付きクロスカット用二枚刃丸鋸盤
EN ISO 19085-22「木工機械 – 安全性 – 第22部：片刃自動及び半自動アップカットクロスカット鋸盤」
包装機械の安全性
2024年CEN/TC 146「包装機械 – 安全」は、機械指令（2006/42/EC）を支持し、包装機械ユーザーの安全性を高めるため、EN 415 シリーズ内の一連の改訂を最終決定する予定です。
EN 415-2「包装機械の安全性 – 第2部：予備成形硬質容器用包装機械」
EN 415-4「包装機械の安全性 – 第4部：パレタイザー、デパレタイザー及び関連機器」
EN 415-7「包装機械の安全性 – 第7部：カートニング及びケースパッキング機械」
EN 415-8「包装機械の安全性 – 第8部：ストラップ機械」
クレーンの安全性
2024年、CEN/TC 147（クレーンの安全性）が様々なタイプのクレーンに関する欧州規格の開発を継続する予定で、特に3つの重要な規格が発行される予定です。
EN 13852-1:2013「クレーン-オフショアクレーン – 第1部」の改訂
EN13852-1:2013「クレーン-オフショアクレーン – 第1部：汎用オフショアクレーン」の改訂で、機械指令 （2006/42/EC）およびATEX 指令（2014/34/EU） をサポートする汎用オフショアクレーンに対応します。今回の改訂は、リスクアセスメント及び構造的考慮を取り入れた新しい体系に合わせるものです。
機械指令（2006/42/EC）に対応したEN 14439:2006+A2:2009「クレーン – 安全性 – タワークレーン」の改訂
この改訂には、耐荷重構造の設計要件の更新、アクセス規定の統合、制御システムの安全関連部分に対する原則の適用、移動式自立タワークレーンに対する考慮事項など、さまざまな側面が含まれます。
機械指令（2006/42/EC）に対応したEN 13557:2003+A2:2008「クレーン – 制御装置および制御ステーション」の改訂
この更新は、他の関連安全規格との整合性を確保しつつ、最新の技術進歩や業界のベストプラクティスに対応することを目的としています。また、これらの規格は、様々な用途におけるクレーンの安全性、効率性、総合的な性能の向上に対するCEN/TC 147 のコミットメントを反映しています。
産業用トラックの安全性
CEN/TC150（産業用トラックの安全性）はISO と密接に協力し、特定の地域要件にも対応した、グローバルに関連する産業用トラックの安全規格を開発します。その目的は、機械指令（2006/42/EC）と新しい機械規則（EU）2023/1230 の下で整合規格として引用されることです。これに基づき、2024年にCEN/TC 150 は以下の取り組みを行います。
EN 1175「産業用トラックの安全性 – 電気/電子要求事項」の改訂
EN 1175「産業用トラックの安全性 – 電気/電子要求事項」の新版を完成させ、参照規格を更新し、読みやすさを改善します。その後直ちに、ウィーン協定の下で、機械規則（EU）2023/1230 をサポートする後続プロジェクトが開発され、産業用トラックの電気・電子要求事項に関する国際的な整合性が図られることが意図されます。
ラフテレーントラックの安全性
機械指令（2006/42/EC）を支援するため、EN 1459-4:2020/pr A1「ラフテレーントラック – 安全要求事項及び検証 – 第4部：自由吊り荷を取り扱う可変リーチトラックに対する追加要求事項」が開発されます。この規格は、ラフテレイン可変リーチトラックの転倒の一般的な原因である自由吊り荷の取り扱いに対処します。TC は、このシリーズの他の2つのパートも最終化する予定です。
pr EN 1459-1「ラフテレーントラック-安全要求事項および検証 – 第1部」
EN 1459-5:2020/pr A1「ラフテレーントラック – 安全要求事項および検証 – 第5部：アタッチメント・インターフェース」
また、EN ISO 24134「産業用トラック – トラック上の自動化機能に対する追加要求事項」に取り組み、手動制御の産業用トラック上の自動化機能に対する安全要求事項を提供し、機器ユーザーの生産性を向上させます。
消防・救助サービス機器の安全
2024年、CEN/TC 192（消防設備）の主要な焦点は、現在の技術水準と機械規則（EU）2023/1230 に整合させるための主要規格の改定にあるとされました。これらの規格は、公共の安全を確保する上で極めて重要な役割を果たしている。改定が予定されている規格は以下の通りです。
EN 1028-1「消火ポンプ-プライマー付き消火用渦巻きポンプ – 第1部：分類 – 一般及び安全要求事項」
EN 1028-2「消火ポンプ-プライマー付き消火遠心ポンプ – 第2部：一般要件と安全要件の検証」
EN 1028-1「消火ポンプ-プライマー付き消火用渦巻き – 第1部：分類 – 一般及び安全要求事項」
EN 14043「消防・救助用高層空中器具-複合動作式ターンテーブルラダー – 安全性・性能および試験方法」
表面処理装置の安全性
この分野で活動している一つのTCであるCEN/TC 271（表面処理装置の安全性）は以下を最終化にすることに焦点を当てます。
EN 1953「コーティング材料塗布装置 – 安全要求事項」
EN 12621「液体コーティング材料の供給・循環用機械 – 安全要求事項」
エンターテインメント技術（機械、装置、設備）の安全性
CEN/TC 433（エンターテインメント技術 – エンターテインメント産業の舞台やその他の制作現場で使用される機器、技術設備、機械類）は、2024年作業計画において、エンターテインメント産業における安全性と品質を向上させるためのいくつかの重要なイニシアチブを概説しています。
EN 17206 シリーズ「エンターテインメント技術 – 舞台およびその他の制作エリア用機械」の追加規格の開発には、これには、この分野での増加に対応した安全規制への要求の高まりに対応する「舞台およびその他の制作エリア用の無人航空機システム（UAS）」作業も含まれます。この規格は、エンタテインメント業界における吊り上げ・保持作業で使用されるアクセサリーの安全性と信頼性の確保に貢献します。
