速報「機械規則(EU) 2023/1230」改訂!緊急時対応手続きのポイントを解説!

皆様こんにちは。こんばんは。

気温の変化が激しい中、体調管理が難しい時期となっておりますが、いかがお過ごしでしょうか。年末に向けて忙しい日々が続くかと思いますが、どうぞご自愛ください。

さて、今回は「機械規則 (EU) 2023/1230」についてのお話です。この規則が制定されたばかりですが、早くも内容に変更が加えられることとなりました。機械指令2006/42/EC は2026年末をタイムリミットとしており、それまでに対応を完了する必要があります。既に1年を切る状況ですので、計画的な準備が求められます。

最新情報を収集し、効率的な対応を進めることで、後戻りや不備を防ぐことができます。当社ブログでは、今後も分かりやすい解説や実務に役立つ情報をお届けしてまいりますので、ぜひご活用ください。

目次

規則(EU) 2024/2748 による機械規則 (EU) 2023/1230 の改訂

2024年11月8日付で公表された規則(EU) 2024/2748 (域内市場の緊急事態による適合性評価、適合性の推定、共通仕様の採用及び市場サーベイランスの緊急手続きに関する規則)は、機械規則(EU) 2023/1230に対し、緊急時に対応するための新しいルールを追加しました。この規則は、危機時の市場混乱を最小限に抑えるための柔軟で迅速な対応を可能にします。この新しいルールの追加は、以下を目的としています。

  • 危機発生時における域内市場の機能維持を目指す
  • 商品・サービスの流通や重要な資源の供給を確保
  • 危機対応措置を透明性、効率性、比例性を持って実施

また、この規則(EU) 2024/2748 は、過去の危機で明らかになった柔軟性不足を補い、EU域内市場の強靭性を高めることを目的としています。危機発生時にも迅速かつ安全に商品を市場に投入できる新たな仕組みは、企業や消費者にとって大きなメリットとなります。この規則は、危機時の市場機能を守るためのEUの取り組みを象徴するものです。今後、各国や企業がこの枠組みをどのように活用していくのか注目されます。

今回の改正は、機械規則だけでなく、建設製品、保護具、ガス器具、一般製品安全規則などにも同様の緊急時対応手続きが導入されています。これにより、EU全体で一貫した対応が可能になります。

主な改正ポイント その1 定義の追加

EUでは、パンデミックや自然災害などの「緊急事態」が発生した際、必要な商品や機械が適切に流通しないリスクがあります。これを防ぐため、緊急時に適用される特別な手続きが今回の改正で導入されました。それに伴い、機械規則 (EU) 2023/1230 第3条(定義)に以下の2つの定義が追加されました。

(37) crisis-relevant goods 危機関連商品

crisis-relevant goods「危機関連商品」とは、規則(EU) 2024/2747 の第3条(6) に定義される危機関連商品を意味する

  • 「危機関連商品」又は「危機関連役務」とは、併せて「危機関連商品及び役務」といい、域内市場及びそのサプライチェーンの適切な機能を確保するための重要な社会的機能又は経済活動の維持において、代替不可能であり、多様化不可能であり、又は不可欠な商品又は役務であって、危機に対応するために不可欠であると考えられ、かつ、理事会が採択した実施法に記載されているものをいう
(38) internal market emergency mode 域内市場緊急モード

internal market emergency mode「域内市場緊急モード」とは、規則(EU) 2024/2747 の第3条(3) に定義される域内市場緊急モードを意味する

  • 「域内市場緊急モード」とは、商品、サービス及び人の自由な移動を著しく混乱させるか、又はそのような重大な混乱が国によって異なる措置の対象となっているか、又は対象となる可能性がある場合には、そのサプライチェーンの機能を著しく混乱させる、域内市場に重大な悪影響を及ぼす危機に対処するための枠組みを意味する

主な改正ポイント その2 緊急時手続きの導入(新たな第IVa章の追加)

緊急時に適用される特別なルールが新設されました。これらは、EU委員会が「緊急モード」を宣言した場合にのみ適用されます。この規定は、緊急時における機械および関連製品の安全性確保と市場機能維持を目的とした枠組みを提供しています。

適用範囲

EU委員会が特定の「危機関連商品」に適用を決定した場合のみ有効

通常のCEマーク手続きでは間に合わない場合に利用されます

具体的な内容

第25a条:緊急手続きの適用
  • 緊急手続きは、規則(EU) 2024/2747 に基づく実施法が採択され、機械および関連製品が「危機関連商品」として指定された場合に適用される
  • 手続きは域内市場緊急モード中に適用され、一部の規定は緊急モード終了後も適用
第25b条:適合性評価の優先順位
  • 通知機関 (notified body) は、危機関連商品の適合性評価申請を優先的に処理する義務がある
  • 優先処理は製造者に不釣り合いな追加費用を課してはならない
第25c条:適合性評価手続きの免除 (derogation)
  • 加盟国は、特定条件下で通知機関の関与を免除し、機械および関連製品の上市や使用を許可できる
  • 許可にはCEマーキングを必要とせず、加盟国間で通知・承認が必要
第25d条:規格および共通仕様に基づく適合の推定
  • EU委員会は、必要に応じて機械および関連製品の必須安全衛生要件を満たすための規格や共通仕様を設定する権限を持つ
  • 規格や仕様に適合する製品は、必須要件を満たしていると推定される
第25e条:市場サーベイランス活動の優先順位
  • 加盟国は、危機関連商品の市場サーベイランスを優先し、EU製品コンプライアンス・ネットワークを通じて調整を行う
  • 市場サーベイランス当局は、相互支援や試験能力の強化に努める必要がある

ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

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機械規則 (EU) 2023/1230 に関する詳しい解説は、ジュンイチロウさんが運営するブログ「iso12100.com」にてご覧いただけます。ぜひ「iso12100.com」を訪れて、最新情報をチェックしてみてください!

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