製品安全規則GPSR (General Product Safety Regulation)(EU)2023/988リコール通知テンプレートについて解説

皆さん、こんにちは。こんばんは。

最近、CE対策や機械安全対策に関するご相談が増えています。しかし、一部のお客様からは、これらの対策を避けたいという声も聞かれます。弊社は、海外市場への製品展開を目指すお客様の企業価値を高めるために、機械安全コンサルティング業務を提供し、お客様にとってのメリットを最大限に引き出すサポートを行っています。それでも、発注者や元請けからの強制的な対策要求に悩まれるお客様の気持ちも理解できます。

今回は、EU市場で製品がリコールされた場合の影響について考えてみましょう。リコールは、製品に何らかの問題があることを示します。この問題が公になると、企業の信頼性やブランド価値に大きな影響を及ぼします。さらに、コンプライアンスの問題も浮上し、企業にとってのリスクが増大します。

製品のリコールは企業にとって大きな打撃となり得ます。そのため、CE対策や機械安全対策は単なる義務ではなく、企業の未来を守るための重要な取り組みです。これからも、一緒に頑張っていきましょう!

目次

GPSR (General Product Safety Regulation) に基づくリコール通知の標準テンプレート

EU委員会は新しい製品安全規則 GPSR (EU) 2023/988 に基づくリコール通知の標準テンプレートについて説明しています。これにより、消費者製品のリコール通知に関する拘束力のある要件が初めて規定されました。欧州委員会は施行規則 (EU) 2024/1435 を採択し、標準化されたリコール通知の雛形を定めています。このテンプレートは経済事業者にとって必須ではありませんが、GPSR 36条の要件を満たすのに役立ちます。

リコール通知にはおおよそ以下の内容の対策が必要です。詳しくは原文と飜訳を参照してください。

製品のリコール通知は、消費者が理解しやすい形で提供され、以下の要素を含む必要があります。
  1. 「製品安全リコール」という見出し
  2. リコール対象製品の明確な説明(写真、名前、ブランド、製品識別番号、販売場所と時期など)
  3. 製品の危険性の明確な説明(消費者のリスク認識を低下させる表現は避ける)
  4. 消費者が取るべき行動(使用中止の指示を含む)
  5. 消費者が利用できる救済措置の説明
  6. 無料の電話番号やオンラインサービスの提供
  7. 必要に応じて、他の人にも情報を共有するよう促す

Article 36

Recall notice

1. Where information on a product safety recall is provided to consumers in a written form, in accordance with Article 35(1) and (4), it shall take the form of a recall notice.

2. A recall notice which can be easily understood by consumers shall be available in the language(s) of the Member State(s) where the product has been made available on the market and include the following elements:

(a) a headline consisting of the words ‘Product safety recall’;

(b) a clear description of the recalled product, including:

(i) picture, name and brand of the product;

(ii) product identification numbers, such as batch or serial number, and, if applicable, graphical indication of where to find them on the product; and

(iii) information on when, where and by whom the product was sold, if available;

(c) a clear description of the hazard associated with the recalled product, avoiding any elements that may decrease consumers’ perception of risk, such as by using terms and expressions such as ‘voluntary’, ‘precautionary’, ‘discretionary’, ‘in rare situations’ or ‘in specific situations’ or by indicating that there have been no reported accidents;

(d) a clear description of the action consumers should take, including an instruction to immediately stop using the recalled product;

(e) a clear description of the remedies available to consumers in accordance with Article 37;

(f) a free phone number or interactive online service, where consumers can get more information in relevant official language(s) of the Union; and

(g) encouragement to share the information about the recall with other persons, if appropriate.

3. The Commission shall, by means of implementing acts, set out the template for a recall notice, taking into account scientific and market developments. Those implementing acts shall be adopted in accordance with the advisory procedure referred to in Article 46(2). That template shall be made available by the Commission in a format that enables economic operators to easily create a recall notice, including in accessible formats for persons with disabilities.

https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2023/988/oj

第36条
リコールの通知
1. 製品安全リコールに関する情報が、第35条第1項および第4項に従って書面により消費者に提供される場合、その形式はリコール通知とする。
2. 消費者が容易に理解できるリコール通知は、製品が市場に提供された加盟国の言語で利用可能とし、以下の要素を含めるものとする。
(a) 「製品安全リコール」という文言で構成される見出し
(b) リコール対象製品の明確な説明、以下を含む
(i) 製品の写真、名称及びブランド名
(ii) バッチ番号やシリアル番号などの製品識別番号、及び該当する場合、製品上の識別番号の場所を示す図表、並びに
(iii) 入手可能な場合、製品がいつ、どこで、誰によって販売されたかの情報
(c) 「自主的」、「予防的」、「任意」、「まれな状況下で」、「特定の状況下で」などの用語や表現を使用したり、事故報告がないことを示したりするなど、消費者の危険認識を低下させる可能性のある要素を一切排除した、リコール対象製品に関連する危険源の明確な説明
(d) リコール対象製品の使用を直ちに中止するよう指示するなど、消費者がとるべき措置の明確な説明
(e) 第37条に従って消費者が利用できる救済措置の明確な説明
(f) 消費者がEU連合の関連する公用語でより多くの情報を入手できる無料の電話番号又は双方向オンラインサービス、及び
(g) 必要に応じて、リコールに関する情報を他の者と共有するよう促すこと。
3. EU委員会は、科学的および市場の動向を考慮し、実施行為によってリコール通知のテンプレートを定めるものとする。これらの実施行為は、第46条(2) に規定される諮問手続きに従って採択されるものとする。EU委員会は、経済事業者がリコール通知を容易に作成できる形式で、テンプレートを提供しなければならない。これには、障害者向けのアクセシブルな形式も含まれる。

リコール通知テンプレート

リコール通知のテンプレートは、経済事業者に対して拘束力はありませんが、GPSR 36条の遵守を容易にします。テンプレートには、必須の法的要件に基づく内容が含まれており、赤色のフォントで強調されています。また、任意で謝罪文やQRコードなどの追加情報を含めることができます。テンプレートの使用は、リコール時の誤りを減らし、法令遵守を確実にするために推奨されています。GPSR はいわゆる B2C の分野に適用されますが、B2B の分野でも使用可能です。

リコール通知テンプレートは(EU) 2024/1435 「2024年5月24日付の欧州委員会施行規則(EU) 2024/1435 は、リコール通知のテンプレートの確立に関する欧州議会および理事会規則(EU) 2023/988の適用規則を定めたものである。」から確認することができます。

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