外資系企業の安全管理部門からの要求に応えたリスクアセスメントの実践事例

弊社は先日、外資系のN社様から工場の生産設備のリスクアセスメントのご依頼を受け、実施しました。このプロジェクトの背景として、N社様はグローバルの安全管理部門からの要求で、日本国内の工場の生産設備のリスクアセスメントを実施し、その対策案まで考えて提出する必要があったということでした。

N社様の工場では、生産設備が常に稼働しており、機械を停止する時間が限られていました。そのため、弊社はまず、リスクアセスメントの対象となる機械をお客様と一緒に選定し、次に、お客様に特化した使いやすいリスクアセスメントのフォーマットを作成しました。このフォーマットは、お客様のグローバルの安全管理部門にも承認され、リスクアセスメントの実施に向けて準備が整いました。

リスクアセスメントの実施にあたっては、一日では終わらないことが予想されたので、優先度を決めて複数の機械グループに分け、何日かに分散して進めることにしました。また、工場の生産稼働が停止できない事情も考慮し、機械的危険源と電気的危険源に集中してリスクアセスメントを行いました。

機械的危険源については、主に下記の国際規格を参考にし、ガードから危険源への安全距離については C 規格 EN 415-10:2014 (Safety of packaging machines – Part 10: General Requirements) を参考にしました。また、一部の機械はレーザーを使用していたので、IEC 60825-1:2014 (レーザ製品の安全基準) の規格に基づいてレーザーの曝露測定も行いました。

  • ISO 13849-1:2023 (機械類の安全性−制御システムの安全関連部−第1部:設計のための一般原則)
  • ISO 13849-2:2012 (機械類の安全性−制御システムの安全関連部−第2部:妥当性確認)
  • ISO 13855:2013 (機械類の安全性− 人体部位の接近速度に基づく安全防護物の位置決め)
  • ISO 13857:2019 (機械類の安全性-危険区域に上肢及び下肢が到達することを防止するための安全距離)
  • ISO 14119:2013 (機械類の安全性−ガードと共同するインターロック装置−設計及び選択のための原則)
  • ISO 14120:2015 (機械類の安全性−ガード−固定式及び可動式ガードの設計及び製作のための一般要求事項)

電気的危険源については、IEC 60204-1:2016 (機械類の安全性−機械の電気装置− 第1部:一般要求事項) という国際規格を参考にしました。

全ての機械にテストレポートを作成するのが理想的でしたが、テストレポートの作成は今後の生産設備の機械を設計開発する際に行うこととなりました。

機械はおよそ500台ほどあり、それらの全てのリスクアセスメントと対策案のコンセプト提示が終わったときは、とてもやりがいを感じました。

生産技術のご担当者様にも感謝され、これから機械の安全対策化が始まります。工場の皆様に使いやすく、かつ安全を担保された機械ができあがるのが楽しみです。

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