新機械規則(EU)2023/1230解説:EC適合宣言とデジタル形式のインストラクションの最新要件

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デジタル形式のインストラクション

2023年にはEU の世帯の93%*以上がインターネットにアクセス可能でした。

(* 出展 EUROSTAT インターネットへのアクセスレベル

この状況を踏まえ、新しい機械規則の規定に従うことは、専門外の使用の場合に重要な安全情報を紙の形式で提供する義務を含むこれらの規定を遵守することも、機械指令の対応する規定も満たすことを保証します。インストラクションがデジタル形式で提供される場合、新しい機械規則の第10条(7) の規定に従う必要があります。

機械規則 (EU) 2023/1230 第10条7項 (機械及び関連製品製造業者の義務)

製造事業者は、機械又は関連製品に、インストラクション及び附属書III に定める情報を添付することを確実にしなければならない。インストラクションは、デジタル形式で提供してもよい。このような指示及び情報は、対応する製品モデルを明確に記述しなければならない。

インストラクションがデジタル形式で提供される場合、製造事業者は次のことを行わなければならない

  1. 機械又は関連製品に、及び/又はそれが不可能な場合は、その包装又は添付文書に、デジタル形式のインストラクションへのアクセス方法を表示する
  2. 使用者がいつでも、特に機械又は関連製品の故障中に、インストラクションにアクセスできるように、 インストラクションを印刷し、ダウンロードし、電子機器に保存することが可能な形式で提示する
  3. 機械又は関連製品の予定耐用年数中及び機械又は関連製品の上市後少なくとも 10 年間は、オンラインでアクセスできるようにすること
    ただし、購入時に使用者から要求があった場合、製造事業者は、1ヶ月以内にインストラクションを紙媒体で無償提供しなければならない。

非専門家ユーザー向けの機械又は関連製品の場合、又は非専門家ユーザー向けでなくとも、合理的に予測可能な条件下で非専門家ユーザーが使用する可能性のある機械又は関連製品の場合、製造者は、機械又は関連製品を使用開始し、安全な方法で使用するために不可欠な安全情報を紙媒体で提供しなければならない。
インストラクション、安全情報及び附属書III に定める情報は、容易に理解できる言語で記載しなければならない。

この規定は、デジタル形式でインストラクションを提供する際に製造業者に特定の義務を規定しているため、遵守が求められます。また、加盟国で物理的に提供される非専門用途の機械の場合、重要な安全情報、包装、または機械自体に、“購入者は、無償で紙の形式のインストラクションをリクエストする権利を有します”という宣言を提供することが推奨されます。

この宣言は、これらの加盟国の購入者が理解できる言語でなければなりません。新しい機械規則の第10条(7)の第4項で言及されている「重要な安全情報」は、組立、起動、使用、保守、および機械の輸送に関する情報を最低限含むべきであり、これに従うことで、使用者または第三者の安全または健康が危険にさらされないことが保証されます。製造業者のリスクアセスメントに基づき、重要な安全情報に追加情報を提供する必要がある場合があります。

機械規則 (EU) 2023/1230 第10条4項 (機械及び関連製品製造業者の義務)

製造事業者は、連続生産の一部である機械又は関連製品が本規則に適合し続けるための手順が整備されて いることを確実なものとしなければならない。製造工程又は機械若しくは関連製品の設計若しくは特性の変更、並びに機械若しくは関連製品の適合性が宣言される参照に供される整合規格、その他の技術仕様又は第20条にいう共通仕様の変更を十分に考慮しなければならない。

機械又は関連製品によってもたらされるリスクに関して適切と考えられる場合、製造事業者は、使用者の健康及び安全を保護するため、市場で入手可能な機械又は関連製品のサンプル試験を実施し、その結果を調査しなければならない。必要な場合、製造者は、苦情、不適合機械又は関連製品、機械又は関連製品のリコールの登録簿を保管し、そのようなモニタリングについて販売業者に通知しなければならない。

機械規則は下記リンクからダウンロードできます

機械に関する2023年6月14日付欧州議会および理事会規則(EU)2023/1230、欧州議会および理事会指令2006/42/ECおよび理事会指令73/361/EECの廃止

EC 適合宣言

機械指令 cl.1.7.4.2 (インストラクションの内容)
(c) EC 適合宣言、または機械類の特性を示すEC適合宣言の内容を規定した文書、これには製品番号及び署名を強制規定としていない

EC 適合宣言の含有に関する規定1.7.4.2(c) は、インストラクションにEC 適合宣言を含めることに関するものです。インストラクションと同様に、EC 適合宣言も機械とともに提供される必要があります。この義務を果たすために、製造業者は以下の2つの選択肢から選択できます。

  • 署名されたEC 適合宣言がインストラクションまたは使用方法に含まれる場合。これは、一度限りの製品や少数生産された機械の場合に適しています
  • もう1つは、EC 適合宣言の内容(シリアル番号や署名を含む必要はありません)をインストラクションまたは使用方法に含め、完成した署名付きのEC適合宣言自体を別途提供する場合

デジタル形式のインストラクションとEC 適合宣言

インストラクションとEC 適合宣言は同じ形式である必要はなく、別々の物理的またはデジタル形式のドキュメントである必要もありません。インストラクションがデジタル形式で提供される場合でも、EC 適合宣言は紙の形式で提供することができます、逆も同様です。

そのようなインストラクションには、EC 適合宣言自体が含まれている場合がありますし、EC 適合宣言がアクセス可能なインターネットアドレスや機械読み取り可能なコードが含まれている場合もあります。

組立 設置 接続

機械指令 cl.1.7.4.2 (インストラクションの内容)

(i) 図面・図表及び取り付け手段を含む組み立て・据え付け及び接続のインストラクション及びその機械類が据え付けられる車台(chassis) 又は設備の指定

組立、設置、接続に関する規定1.7.4.2(i) は、機械を稼働前にユーザーまたはその代理人によって行われる作業を対象としています。

デジタル形式で提供することができる組立インストラクションは、例えば、輸送、または包装の目的で機械の要素が分解されている場合など、すぐに使用できる状態で使用者に提供されない機械に必要です。専門家でないユーザーが組み立てを行う場合は、組み立てインストラクションには特に注意を払わなければないけません。

接続のインストラクションには、エネルギー供給源や液体供給源などへの機械の安全な接続を確保するために使用される措置が記載されていなければなりません。例えば、電圧、電力、圧力、温度など、供給に関連する特性を明記しなければなりません。危険源を排出する手段が機械と一体でない場合は、機械と危険源の安全な接続についても規定しなければなりません。

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